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地域の特性を生かしたホスピスケアの展開

アジア太平洋地域ホスピス連絡協議会に出席された各国代表の先生方の協力を得て、1997年2月23日、第2回国際ホスピスフォーラムを聖路加看護大学にて開催した。参加者は、医師、看護婦、ソーシャルワーカー、ボランティアなど、全国からお集まりいただき、総勢304名となった。
フォーラムI:これからのホスピス緩和ケア
施設内ケアの現状と未来像についてお話しされたシンガポールのアッシシ・ホーム・ホスピスの医療部長ゴウ先生は、シンガポールでホスピスが取り上げられた時、初めは「死の場所」と誤解されたが、本来の活動が理解され、国からの支援も受けられるようになり、現在では、癌で亡くなる人の約4割がホスピスケアを受けていることを報告された。そして、施設内ケアが単独に行われるのではなく、在宅ケア、デイケアと一体となって、継続的にサービスが提供される時、患者のQuality of Life(QOL)を真に向上させることができると強調された。
また、在宅を基本としたケアの中で、施設内ケアは、家庭ではマネージメントが困難な症状、精神的に不安定な状態で専門的なケアが必要な時、家族との関係で介入が必要な場合など、より専門的な役割を果たすことが要求されるようになるとまとめられた。なお、現在の入院患者は癌患者が中心となっているが、今後はエイズ、また慢性疾患や難病の患者など、ケアの対象が広がっていく可能性を示唆された。
ゴウ先生のお話を受けて、シンガポールのホスピスケア協会医療部長のショウ先生は在宅でもかなりのレベルまで症状コントロールが可能であり、在宅ケアには、住み慣れた家で、家族に囲まれて、平和とプライバシーが守られる環境で過ごすなどの利点がある。また、不必要な検査を避けることができ、病院のベッドを緊急患者に提供することを可能にし、何よりも施設内ケアでカバーできる人数の何倍もの人にケアを提供できると説明された。そして、在宅ホスピスケアチームの役割は、患者とその家族が身体的・精神的に末期のステージにある時、共に歩むことであるとまとめられた。

 

国際ホスピスフォーラム

 

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会場いっぱいの参加者を迎えて

 

 

 

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